5月~8月ごろにかけて、雹で住宅に損害が発生することがあります。雹で生じた住宅の損害は、火災保険で補償されるのでしょうか。
このページでは、火災保険の補償範囲を解説するとともに保険金請求期限や保険金請求方法などを紹介しています。以下の情報を参考にすれば、雹で生じた損害にどのように対処すればよいかがわかるはずです。保険金を請求したいと考えている方は確認しておきましょう。
雹災(ひょうさい)による火災保険申請の対象範囲
雹で生じた住宅などの損害は、火災保険で補償されるのでしょうか。
雹災も火災保険の補償範囲内
雹が原因で生じた住宅や家財の損害は、火災保険で補償される可能性があります。火災保険は、火災だけでなく雹災や風災、雪災などを補償の対象にしているからです。雹災とは、空から降ってくる大粒の氷の塊(=雹)で生じた損害のこと。具体的には、雹で窓ガラスが割れた、雹で屋根瓦が割れた、雹でベランダの床が破損したなどが雹災にあたります。
火災保険によっては雹災補償を外せる
雹災補償は、多くの火災保険で基本補償に含まれています。ただし、すべての火災保険で基本補償に含まれるわけではありません。一部の火災保険は、雹災補償を基本補償に含まず外せるようにしています。雹災補償を外して契約している場合、雹で住宅や家財に損害が生じても補償は受けられません。保険金を請求したい方は、契約内容を確認しましょう。
「住宅のみ」、「家財のみ」の契約にも注意
雹の損害で保険金を請求したい場合、保険の対象も確認しなければなりません。火災保険は、保険の対象を「建物」、「家財」から選べます。つまり、「建物と家財」、「建物のみ」、「家財のみ」から選べるのです。「家財のみ」を選択していると建物に生じた損害、「建物のみ」を選択していると家財に生じた損害は補償を受けられません。
ちなみに、建物とは、建物本体、門や塀・駐車場などの付属建物、調理台や浴槽・エアコンなど建物に取り付けているものなどを指します。家財とは、建物に収容している衣類や家具など日常生活に使用している動産を指します。雹災で保険金を請求する場合、保険の対象にも注意が必要です。
保険金の申請期限
火災保険の保険金を申請できる期間には限りがあります。保険法第95条で、保険金給付を請求する権利は、行使できる時から3年間行使しないことで時効により消滅すると定められているからです。雹で住宅などに損害が生じた方は、3年以内に保険金請求手続きを行わなければなりません。
また、火災保険の契約者などは、損害や給付事由の発生を知った場合、速やかに保険会社へ通知する義務を負っています(保険法第14条・第79条)。正当な理由なく通知を怠った場合は、支払われる保険金から保険会社が被った損害分を差し引かれる恐れがあります。保険金の申請期限にかかわらず、雹で住宅などに損害が生じたときは速やかに保険会社へ通知しましょう。
保険金の申請方法
保険金の申請方法は、大きく「自分で申請」と「申請代行業者に依頼」に分かれます。それぞれの特徴と手続きの流れは以下の通りです。
自分で申請する方法
火災保険金の申請は自分で行うことができます。ただし、申請には専門的な知識が必要です。保険金請求書、損害状況報告書の作成のほか、損害状況がわかる写真の撮影、修理費用の見積書の用意などを行わなければならないからです。
専門的な知識がないと、書類をスムーズに作成できない、損害状況を正確に見極められないなどの恐れがあります。自分で申請することはできますが、専門的な知識がないとハードルは高いといえるでしょう。
申請の流れ
自分で申請する場合、以下の流れで手続きを進めます。
- 保険会社の窓口で保険金の給付を申請したいと伝える。このときに、契約者名、保険証券番号、事故の状況・日時・場所などの情報が必要になる。
- 申請を受け付けた保険会社から必要書類などが届く。
- 保険金の申請に必要な書類を作成し、提出する。具体的には、保険金請求書(保険会社指定)、罹災証明書、損害状況報告書、損害状況がわかる写真、修理費用の見積書などを提出する。
- 保険会社が、損害状況を調査する。
- 保険会社が、提出された書類と調査結果をもとに、保険金支払いと保険金額について審査する。
- 保険金支払と保険金額が決定する。
- 指定した口座へ保険金が支払われる。
申請代行業者に依頼する方法
保険金の申請は、申請代行業者に依頼することでも行えます。申請代行業者は、「保険代理店が母体」、「リフォーム業者が母体」、「保険金申請代行サービスが本業」の業者に分かれます。具体的なサービス内容は業者により異なりますが、専門家のサポートを受けられるので損害状況を正確に見極め保険金を申請できる、適正な見積もりにより十分な補償を受けられる、保険金受給までの期間を短縮できるなどのメリットがあります。迅速かつ確実に保険金申請を行えるので、専門的な知識がない方に向いている方法といえるでしょう。
ただし、申請代行業者に依頼すると手数料がかかります。自分で申請する場合より手元に残るお金が少なくなる点には注意が必要です。手数料は保険金を受け取ってから払います。よって、費用負担を感じることは基本的にありません。
申請の流れ
申請代行業者に依頼し保険金を受け取る流れは以下の通りです。
- 申請代行業者の窓口で、保険金申請について相談。
- 申請代行業者が損害の状況を調査し、保険金申請の可否を評価。
- 保険金申請が可能と考えられる場合は、契約者が保険会社窓口で保険金を申請。
- 申請を受け付けた保険会社から必要書類などが届く。
- 契約者と申請代行業者で必要書類を作成し保険会社へ提出(保険金支払請求書・事故状況報告書は契約者、事故状況の写真撮影、修理費用の見積書作成は申請代行業者が行うことが一般的)。
- 保険会社が事故状況を調査。
- 保険会社が提出された書類と調査結果をもとに、保険金支払と保険金額について審査。
- 保険会社から保険金支払いの通知。必要があれば、申請代行業者が保険会社へ修理内容などを詳しく説明。
- 指定した口座へ保険金が支払われる。
- 申請代行業者へ手数料を支払う。
※具体的な申請の手続き、サービスの内容は申請代行業者で異なります。
雹災による見舞金の目安
雹災で保険金が支払われたケースを紹介します。
ケース1:雹で窓ガラスが割れたケース
雹で2か所の窓ガラスが割れたケースで保険金が支払われています。損害額は建物15万円です。この損害に対し雹災による損害保険金として15万円、臨時費用保険金として4万円、合計19万円が支払われています。
雹災は火災保険で対応できる|申請代行業者の利用が便利
雹で生じた住宅や家財の損害を雹災といいます。雹災は、火災保険で補償を受けられます。保険金を申請したい方は、自分で手続きを進める、あるいは申請代行業者に依頼するとよいでしょう。両者を比べると、申請に関する様々なサポートを受けられるうえ、損害状況を正確に見極められる申請代行業者のほうが便利で確実です。
専門的な知識がないまま自分で申請手続きを進めると、必要な補償を受けられない恐れがあります。雹災でお困りの方は、申請代行業者に相談することから始めてみてはいかがでしょうか。
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