マンションも火災保険が必要|その理由と補償範囲の決め方などを解説

マンションも火災保険が必要|その理由と補償範囲の決め方などを解説
「マンションを購入する予定だけど、火災保険って必要なの?」と感じていませんか。戸建てより火災のリスクは低そうなので、保険料などを考えると加入しない選択肢も検討したくなりますよね。気持ちはわかりますが、マンションにも火災保険は必要です。その理由と補償範囲・補償内容の決め方や保険料の目安などを解説いたします。マンションを購入する前に、確認しておきましょう。

保険料は節約したい!マンションの火災保険は必要?

保険料は節約したい!マンションの火災保険は必要?
冒頭で述べた通り、マンションにも火災保険は必要です。その理由として、以下の3点が挙げられます。

住宅ローンの借り入れには火災保険が必須

住宅ローンを組んでマンションを購入する場合、火災保険への加入を求められます。契約者を困窮のリスクから守るためです。住宅ローン返済中に火災が起きると、マイホームに住めなくなることがあります。この場合も、住宅ローンの返済義務は残ります。

火災で住めなくなったマンションに変わる住居を賃貸すると、住宅ローンの返済に加え家賃がかかります。火災保険に加入しておかないと、火災により経済状況が一変してしまう恐れがあるのです。このような状態に陥ることを防ぐため、住宅ローン借入時に火災保険への加入を求められます。

延焼被害に遭ったとき、火元からは賠償が受けられない

自分は火事を起こさないと考えている方も、火災保険は必要です。隣室の火災でマイホームが損害を受けても、隣室の家主から賠償してもらえない可能性が高いからです。賠償してもらえない理由は、「失火責任法(失火ノ責任ニ関スル法律)」があるから。この法律で、過失による火災は原則として民事上の損害賠償責任を負わないことが定められています。

つまり、重大な過失がある場合を除き、隣室の火災でマイホームが損害を受けても、火元の家主から賠償してもらえない可能性が高いのです。自分は火事を起こさないと考えている方も、自衛のために火災保険に加入しておく必要があります。

意外な盲点、天候による風災

想定外の天災に備えるためにも、火災保険は必要です。天災に強いといわれてきたマンションですが、状況は少しずつ変わりつつあります。これまででは考えられなかったような天災が増えてきているからです。記憶に新しいところでは、2018年の台風21号が挙げられます。この台風では、マンションの窓が割れるなどの被害が出たようです。

今後も、よく似た天災が起きる可能性はあります。例えば、大型台風の強風でマンションの窓が割れて、室内がずぶ濡れになるといったことが起きるかもしれません(火災保険の風災補償で対応可能)。火災保険に加入しておけば、風災をはじめとする天災にも備えられます

マンションだからこそ!注意したいチェックポイント

マンションだからこそ!注意したいチェックポイント
以上の理由から、マンションにお住まいの方も火災保険が必要と考えられます。続いて、マンションにお住まいの方が知っておきたい火災保険のポイントを解説します。

マンションで個人が火災保険をかける場所

分譲マンションにおける火災保険の対象は、専有部分と共有部分にわかれます。専有部分は区分所有者が単独で所有する部分、共有部分は区分所有者全員で共有する部分です。専有部分は住居部分、共有部分はエントランス・廊下・バルコニー・玄関扉・窓ガラスなどと考えればよいでしょう。

マンションにお住いの個人が火災保険をかける対象は専有部分です。共有部分は皆で共有するため、基本的には管理組合で火災保険をかけます

パッケージ型かカスタマイズ型か

火災保険には、パッケージ型とカスタマイズ型があります。パッケージ型は最初から必要性の高い補償がセットになっている火災保険、カスタマイズ型はニーズに合わせて自分で補償を組み合わせる火災保険です。それぞれのメリット・デメリットは以下の通りです。

【パッケージ型のメリット】

  • 誰でも手軽に火災などのトラブルに備えられる。

【パッケージ型のデメリット】

  • 必要性の低い補償が付いていると無駄な保険料が生じる

【カスタマイズ型のメリット】

  • 自分で補償を選べるので保険料の無駄が生じにくい

【カスタマイズ型のデメリット】

  • 必要な補償を選ぶためある程度の知識を要する

以上の特徴を理解したうえで、火災保険を選ぶことが重要です。

必要な補償と不要な補償の選び方

基本のポイントは、補償範囲と補償内容を理解したうえで、必要な補償と不要な補償を考えることです。これらを理解しておけば、どういったときにどのような補償を受けられるかわかるため、各補償の必要性を判断しやすくなります。

例えば、適切に選択しづらい補償範囲として「水災」と「水濡れ」が挙げられます。水災の補償内容は「台風や豪雨などによる洪水をはじめとする水災を補償」、水濡れの補償内容は「自宅以外で起きた給排水設備の故障で生じた水濡れなどによる損害を補償」です。マンションの高層階は、水災補償の必要性はそれほど高くないかもしれません。一方で、水濡れ補償の必要性は高いと考えられます。このように、補償範囲と補償内容を理解しておけば、必要な補償と不要な補償を判断できます。

以上に加え行っておきたいのが、地域固有のリスクを調べて火災保険に反映しておくことです。地域固有のリスクは、国土交通省が発表しているハザードマップで確認できます。

出典:国土交通省:ハザードマップポータルサイト

マンションにおすすめの火災保険の相場を比較

マンションにおすすめの火災保険の相場を比較
火災保険の保険料は、どのように決まるのでしょうか。保険料の決まり方とマンションにおすすめの火災保険を紹介します。  

マンションの保険料はどうやって決まるのか

火災保険の保険料は、以下の3要素で決まります。

保険料算出の要素 概要
建物の評価(保険金額) 建物の評価は「同レベルのものを再建築・再取得するとどれくらいかかるか?」を基準に算出します。
建物の所在地と構造区分 自然災害のリスクは建物の所在地で、火事や災害で損害を受けるリスクは建物の構造で異なります。リスクの差を保険料に反映しています。
補償内容 補償と保険料は比例します。補償を厚くすると保険料は高く、補償を薄くすると保険料は安くなります。

以上をもとに、マンションの保険料は決まります。

分譲マンション向け火災保険ランキング

続いて、マンションにおすすめの火災保険をピックアップして、保険料と補償内容を比較します。

保険会社 ソニー損保 ジェイアイ傷害火災 日新火災
商品名 新ネット火災保険 ieho(イエホ) 住自在
保険料 135,203円(一括) 155,756円(一括) 139,310円
保険期間 5年 5年 5年
建物の保険金額 1,210万円 1,240万円 980万円
家財保険金額 1,000万円 1,000万円 1,000万円
地震保険(建物) 465万円 605万円 490万円
地震保険(家財) 500万円 500万円 500万円
補償内容 火災・落雷、風災・雪災、水濡れ、盗難 火災、破裂・爆発、落雷、風災・雹災・雪災、物体の落下・飛来等/騒じょう、水濡れ、盗難 火災・落雷・破裂・爆発、風災・雹災・雪災、水濡れ・盗難など

以上の保険料は、「マンションの所在地・東京都」「区分所有建物の専有面積・70㎡」「保険料の支払い方式・5年一括払い」で算出しています。建物の保険金額、地震保険(建物)、補償内容(記載していない部分にも違いがあります)に違いがある点に注意が必要です。保険料が最も高いジェイアイ傷害火災は補償内容が充実しています。保険料が最も安いソニー損保はシンプルな補償内容です。ニーズに合わせて加入する火災保険を選択することが重要です。

損なく活用し尽くして!マンションの火災保険

損なく活用し尽くして!マンションの火災保険
最後に、マンションの火災保険を損なく活用するポイントを紹介します。

地震、水漏れや盗難など火災以外にも備えられる

火災保険は、火災だけに備えるための保険ではありません。火災以外にも様々なリスクに備えられます。基本的な補償範囲は、火災保険の種類で異なります。火災保険の種類は以下の通りです。

火災保険の種類

  • 住宅火災保険
  • 住宅総合保険

住宅火災保険は一般的な火災保険、住宅総合保険は幅広いリスクに備える火災保険といえます。それぞれの補償範囲は次の通りです。

住宅火災保険 住宅総合保険
火災
落雷
破裂・爆発
風災・雹災・雪災
水災 ×
水濡れ ×
外来からの飛来・落下・衝突 ×
騒じょうなどによる破壊・暴行 ×
盗難 ×

出典:一般社団法人日本損害協会:火災保険

いずれを選んでも、火災以外のリスクにも備えられます。安心して過ごすため、加入しておきたい保険といえるでしょう。

マンションの売却時には返還金も

マンションの売却時には返還金も
マンションを売却するなどの理由で火災保険を解約すると、未経過分の保険料が解約返戻金(カイヤクヘンレイキン)として返ってきます。ただし、未経過分の保険料がきっちりと返ってくるわけではありません。長期一括払い契約の場合、解約返戻金は以下の計算式で求められます。

解約返戻金の計算式
解約返戻金=契約保険料×未経過料率

未経過料率の設定は保険会社で異なりますが、解約で大幅に損をするといったことは基本的にありません。火災保険は、長期契約を結びやすいといえるでしょう。

一戸建てよりも保険料を抑えられる

マンションと一戸建ての火災保険料を比べると、マンションの方が割安になる傾向があります。マンションと一戸建てでは、保険料算出の要素となる建物の構造が異なるからです。火災保険における建物の構造には、M構造・T構造・H構造の3分類があります。それぞれの内容は以下の通りです。

建物の構造 概要
M構(マンション構造) コンクリート造・耐火建築物・耐火構造建築物のいずれかに該当する共同住宅
T構(耐火構造) コンクリート造・鉄骨造・耐火建築物などに該当する建物
H構(その他構造) M構造とT構造に該当しない建物

マンションはM構造、一般的な一戸建てはH構造に分類されます。M構造とH構造を比べると、M構造の方が火災などで損害を受けるリスクは低いと考えられています。だから、マンションの火災保険料は、一戸建てよりも割安になる傾向があるのです。

暮らしもご近所トラブルも、安心のための火災保険

暮らしもご近所トラブルも、安心のための火災保険
マンションを購入する方は、火災保険へ加入しましょう。長く住み続けることを考えると、火災や自然災害などのリスクを無視できないからです。自分は火災を起こさないと考えている方も安心はできません。隣家の火災で損害を受ける恐れがあるからです。失火者に重大な過失がなければ、基本的には損害賠償を求めることはできません。自衛のため、すべての方が火災保険に加入しておく必要があります。

火災保険の補償範囲、補償内容は自由に選択できます。無駄な保険料を払いたくない方は、カスタマイズ型を選ぶとよいでしょう。ポイントは、補償範囲・補償内容を理解してから必要性を判断することと地域特有のリスクを考慮することです。落ち着いて検討すれば、それほど難しい作業ではありません。マンションを購入する方は、以上を参考に火災保険に加入してみてはいかがでしょうか。

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