火災保険で受けられる見舞金の相場や金額感

各家庭や個人が万が一の火事に備えて加入する火災保険は、火の不始末や隣家からの延焼などさまざまな火災に備えられる保険商品です。
ここでは、火災保険料金が決まる要素について詳しく紹介しながら、保険金の相場についても説明します。

火災保険料が決まる要素

火災保険料が決まる要素

月々の火災保険料はどのようにして決まるのか、詳しく要素をみていきましょう。

建物の種類・構造

火災保険料を決める場合、建物の耐火性や耐久性を表す「建物構造」を確認します。

コンクリート・コンクリートブロック・レンガ造など耐火性や耐久性の高い建物は「M構造」、M構造以外のコンクリートやレンガまたは鉄骨造の建物は「T構造」とされ、木造の一般的な建物はH構造の構造区分で示されます。

保険料はH構造がもっとも高く、ついでT構造、M構造と下がっていきますので、保険に加入する前に建物の種類と構造を「建物登記簿謄本」「建築確認申請書等」などの書面で確認してください。

床面積

建築から一定の期間が経っている建物の場合、建築当時の費用が分からないことがあります。
そこで、都道府県ごとに定めた「建築単価」に建物の「延べ床面積(延床面積)」を掛け合わせた金額を火災保険料とします。

広い建物ほど火災による損害の程度が大きくなるという考え方で、狭い家よりも広い家のほうが保険料は高くなります

建築年月

建築年月とは、建物を新築した完成日のことです。完成日から日が浅いほど火災のリスクが小さく、年月が経過しているほど火災リスクが高いと判断されます。

建物に関する情報は、耐火性や耐久性だけではなく「いつ建てられたか(建てられてからどのくらい経過しているか)」についても確認しなければなりません。

建築年月は売買契約書や重要事項説明書、登記簿謄本などで確認できます。保険に加入する際には正式な書面が必要になりますので、書類はすべて揃えて手元に置いておくようにしましょう。

建築金額

建築金額

建物の市場における価値や評価が高いものほど火災保険料の相場が高くなります。
火災保険料を正しく決定するためには、建築年月・延床面積などの情報に加えて、建築にかかった金額も保険会社に申告しなければなりません。

補償範囲

火災保険の補償内容が手厚くなるほど、保険料の相場は高くなります。たとえば火災のほかに水災・風災・雪災・破損・盗難・地震といった各種災害をカバーしているものは、そのぶん保険料金が割高になります。

保険内容にプラスして付帯する特約として、日常生活の中で損害賠償責任を負うような事故を起こしてしまった場合の個人賠償責任補償特約や、近隣の建物に被害を与えた場合の類焼損害補償特約などを付けると、そのぶん保険料がアップします。

保険期間

火災保険の契約期間は最短で1年から最大10年までとなります(満期を迎えた後は自動継続または更新の手続きが必要)。
契約期間が長くなるほど、保険料を長く支払うことになるので、料金は割安になります。

火災保険の保険金の相場

火災保険の保険金の相場

万が一火災が起きてしまい、保険が適用される場合保険金はどの程度下りるのでしょうか。ケース別に相場をみていきましょう。

ケース1:タバコの不始末による火事

居室内でタバコの不始末があり、燃え残りが灰皿周辺のゴミや衣類に引火して室内が全焼、周囲の部屋にも被害が出たケースです。

トータルの損害額は225万円で、そのほとんどが家財の焼失でした。実際に支払われた金額は337万円で、火災保険の損害保険金に臨時費用保険金・失火見舞費用保険金が付帯されています。

  • 損害保険金(火災):225万円
  • 臨時費用保険金:67万円
  • 失火見舞費用保険金:45万円

ケース2:落雷による家電製品の故障

落雷によってアパート居室内のテレビ・Blu-ray レコーダーが破損したケースです。

トータルの損害額は72,000円で、内訳のすべてが家財道具の故障でした。実際に支払われた金額は損害保険金(落雷)に臨時費用保険金を合わせた93,000円となりました。

  • 損害保険金(火災):72,000円
  • 臨時費用保険金:93,000円

ケース3:隣の店舗から出火しもらい火を受けて店が全焼

複数の店舗が並ぶ地域で隣の店から火災が発生、もらい火を受けて自分の店も全焼してしまったケースです。

トータルの損害額や造作什器や休業にかかる損失を合わせて合計2,600万円で、実際に支払われた金額は満額の2,600万円となりました。

このケースでは隣接店舗への損害賠償請求ではなく「失火法」に基づく火災被害となり、オーナーが加入している保険から直接補償を受けています。

  • 損害保険金(火災):2,600万円

火災保険の見舞金の相場

火災保険の見舞金の相場

火災保険が下りる場合、見舞金はどの程度になるのでしょうか。損害保険金と費用保険金の違いや相場について確認していきましょう。

損害保険金と費用保険金の違い

損害保険金」とは、保険の対象となる建物や家財道具、店舗の什器などが損害を受けた際に支払われる保険金を指します。

費用保険金」は、直接損害を受けた建物や家財道具とは別にかかる諸費用をサポートするための保険金。火災保険によってはいくつかのタイプの費用保険金が用意されています。

火災や台風などの被害でもらえる見舞金の相場

「臨時費用補償特約」「地震火災費用保険金」の名称で販売されている見舞金は、火災などの被害に遭った際にさまざまな損害を補償できる特約および保険金のこと。

損害保険金が下りる前、緊急に出費がかさんだときの諸費用を補うもので、使いみちに制限はありません。保険会社や保険の内容によっても変わりますが、見舞金の目安は損害保険金の10%程度が目安となります。

見舞金は最大で100万円と上限を設けているケースが一般的で、損害保険金の10%が100万円を超える場合は100万円の満額支給となります。

地震関連の被害でもらえる見舞金の相場

地震関連の被害でもらえる見舞金の相場

地震による火災被害の場合、直接的な火災による被害とはみなされないため、火災保険の直接の対象にはなりません。

火災保険の損害保険金の5%程度が支払われる場合がありますが、地震による火災被害の保険金は地震保険でまかなわなければならないので、火災保険でカバーしきれない点に注意が必要です。

見舞金が支払われないケース

火災保険に特約を付帯していない場合、見舞金は支給されません。しかし万が一火災が発生した場合、建物や家財道具を新調するために臨時の出費がかさむ可能性が高いため、特約は必ず付帯するようにしましょう。

また、火災保険の補償範囲に直接関係のないアクシデントや損害についても見舞金の支給はされませんので、他の保険商品でカバーする必要があります。

保険の補償内容をよく確認しておこう

保険の補償内容をよく確認しておこう

火災保険にはさまざまな商品がありますが、基本的に補償の対象となるのは以下の5項目です。

  • 火災:火災や落雷への補償
  • 風災:台風・大雪への補償
  • 水災:氾濫・洪水・豪雨への補償
  • 盗難:空き巣被害など盗難への補償
  • 破損:偶発的な事故による損害への補償

上記に含まれないものとしては、たとえば台風によって発生した雷の被害に遭った場合や、地震が引き起こす津波などが挙げられます。
直接的な火災被害ではなく、二次・三次的な被害については対象外となるケースがあるため、特約や他の保険商品でカバーする必要があります。

保険商品を選ぶ際には、どの程度まで補償されるのかしっかりと確認・比較するようにしてください。

将来への備えとして火災保険を選ぶ

将来への備えとして火災保険を選ぶ

火災保険は直接的な火災による被害のほかに、地震や風水害もカバーできるものです。しかし特約を付けなければ見舞金が出ないといった側面も押さえておかなければ、いざというときに補償が受けられない可能性があります。

すでに火災保険の申請を検討中の方は、自宅の建物構造や完成日などが確認できる書類を揃えておき、いつでも提出できるように準備しておきましょう。

保険商品によって補償の範囲が変わる点にも注意し、後からプランを見直す可能性も含めて、将来への備えを十分にしてください。

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