火災保険の適用条件を知りたいと考えていませんか。火災をはじめとするトラブルに遭遇すると、加入している火災保険から保険金が支払われるか気になりますよね。
このページでは、火災保険の適用条件を詳しく解説しています。以下の情報を参考にすれば、どのようなときに火災保険が支払われるかわかるはずです。お困りの方は参考にしてください。
火災保険の対象物
火災保険の適用条件を確認するうえで理解しておきたいのが「保険の対象」です。「保険の対象」とは、保険をかける対象のこと。例えば自動車保険では、自動車が「保険の対象」となります。火災保険の「保険の対象」となるのは、「建物」「家財」の2つです。
火災保険は保険の対象ごとに加入するため、「建物のみ」「家財のみ」「建物+家財」で加入することができます。火災保険の「保険の対象」について詳しく見ていきましょう。
建物のみ
一戸建てやマンションなどに加え、建物に付随していて動かせないものの多くが建物に含まれます。具体的には畳やふすま、備え付けの収納などの建具、建物に取り付けた冷暖房設備、電気、ガス、浴槽、調理台など、建物に付属する門、塀、垣、車庫、カーポートなどは建物に含まれます。「建物のみ」を保険の対象とする場合、保険事故が起きたとしても「家財」に対する保険金は支払われません。
家財のみ
建物の中に収められている家財が保険の対象となります。具体的には、日常生活で使用している家具や家電、衣類などが家財に含まれます。高額(1個1組30万円超)な貴金属、宝石、美術品などは、契約時に申告していないと保険の対象とはなりません(加入する火災保険で異なるため、詳しくは確認が必要です)。
また、自動車も保険の対象外です(自動車は自動車保険の車両保険などに加入)。「家財のみ」を保険の対象とする場合、保険事故が起きても「建物」に対する保険金は支払われません。
建物+家財
火災保険は「保険の対象」ごとに加入する仕組みです。建物と家財について保険金の支払いを受けたい場合、「建物+家財」を保険の対象としている必要があります。火災保険に加入していれば、自動的に建物と家財について保険金が支払われるわけではないので注意しましょう。
火災保険の対象範囲
火災保険は補償の範囲により「住宅火災保険」と「住宅総合保険」に分かれます。それぞれの補償の範囲をまとめると以下のようになります。
【住宅火災保険と住宅総合保険の補償の範囲】
住宅火災保険 | 住宅総合保険 | |
---|---|---|
火災 | 〇 | 〇 |
落雷 | 〇 | 〇 |
ガス爆発などの破裂・爆発 | 〇 | 〇 |
風災・ひょう災・雪災 | 〇 | 〇 |
水災 | 〇 | 〇 |
自動車の飛込み等による飛来・落下・衝突 | × | 〇 |
給排水設備の事故等による水濡れ | × | 〇 |
騒じょう等による暴行・破壊 | × | 〇 |
盗難 | × | 〇 |
住宅火災保険
住宅火災保険は、住宅総合保険に比べ補償の範囲が狭い火災保険です。火災、落雷、爆発、風災・ひょう災・雪災などは補償の範囲、水濡れ、自動車の飛込み等による飛来・落下・衝突、盗難などは補償の範囲外となっています。必要最小限を補償の範囲としている火災保険といえるでしょう。
補償の範囲が限定されているので同じ条件であれば住宅総合保険よりも保険料は安くなりますが、トラブルの内容によっては保険金を受け取れない恐れがあります。
住宅総合保険
住宅総合保険は、住宅火災保険に比べると補償の範囲が広い火災保険です。火災、落雷、爆発、風災・ひょう災・雪災などに加え、水濡れ、自動車の飛込み等による飛来・落下・衝突、盗難なども補償の範囲としています。
さまざまなリスクに備えられるため、オールリスク型の火災保険と呼ばれることがあります。幅広いリスクに備えられる点は魅力ですが、住宅火災保険に比べると保険料は高くなります。
火災保険が適用される期間
契約期間中に保険事故が起きた場合、火災保険から保険金が支払われます。火災保険に加入している方は以下の点に注意しましょう。
火災保険の始期日
保険期間が始まる日、つまり保険契約の補償が始まる日のことを始期日といいます。火災保険の始期日は、住宅の引き渡し日とすることが一般的です。火災保険の始期日は申込日以降の任意の日に設定できますが、申し込み手続きと保険料の支払いを終えている必要があります。
よって、住宅の引き渡し日の2週間前程度から手続きを始めることがすすめられています。火災保険の補償を受けたい方は、保険の始期日を確認しましょう。
火災保険の契約期間
火災保険が保険金を支払うのは契約期間中に起きた火災などです。火災保険の契約期間は、契約内容により異なります。最短の契約期間は1年、最長の契約期間は2015年10月までに加入した火災保険は36年、2015年10月以降に加入した火災保険は10年となっています。つまり、現在の火災保険の契約期間は1~36年です。
最長の契約期間が短縮された理由は、自然災害の増加で将来のリスクを予想しづらくなったから。保険金の支払いを受けるには、契約期間ごとに更新が必要です(自動継続なしの場合)。
契約更新を忘れると無保険になる
自動継続なしの火災保険で契約更新を忘れると、火災保険をかけていない状態になります。この間に起きた火災や自然災害で、保険金を受け取ることはできません。火災などに伴う修理費用や再購入費用などは全額自己負担となります。
火災保険は他の保険に比べ契約期間が長くなるため、更新を忘れがちです。火災保険の適用条件が気になる方は、契約期間中に起きた火災などであることも確認しておきましょう。
実際に火災保険がおりたケース
補償の範囲や適用期間がわかったところで気になるのが、火災保険の保険金が支払われているケースです。火災保険はどのようなときに支払われるのでしょうか。保険金が支払われた事例を紹介します。
ケース1:電気ストーブが原因のボヤ
仕事で疲れていたAさんは、電気ストーブを付けた状態でうたた寝してしまいました。このときは気づいていませんでしたが、毛布の一部が電気ストーブにかかっていたようです。異臭が気になり目覚めると、ブランケットの一部から火が出ているのを発見。火は小さかったので自分で消火できましたが、電気ストーブ、毛布、ベッド、羽毛布団、マットレス、天井の一部が燃えてしまいました。
Aさんの被害額は建物30万円、家財30万円、合計60万円です。火災保険から60万円の損害保険金が支払われました。
ケース2:タバコの不始末で部屋が全焼
愛煙家のBさんは、食後や就寝前に自室でタバコを吸う習慣がありました。灰皿の中には、いつも大量の吸い殻が置かれていたそうです。ある日、タバコの不始末が原因で、灰皿の周りから出火。出火から間もないタイミングで発見できたため消防車が到着する前に消し止められましたが、それでも灰皿周辺に置いていたパソコン、HDDレコーダー、衣類、布団、カーテンと室内の一部は燃えてしまいました。
Aさんの被害額は家財130万円、建物50万円、合計180万円です。火災保険から180万円の損害保険金と50万円の臨時費用保険金(特約)が支払われています。
ケース3:落雷でパソコンが故障
Cさんは、自宅で仕事用のパソコン2台を使用していました。いつものようにパソコンを使用していると、激しい落雷を伴うゲリラ豪雨が発生。パソコンが動かなくなってしまいました。落雷の影響で、コンセントにつないでいた2台のパソコンが故障してしまったのです。
Cさんの被害額は合計で30万円。火災保険から30万円の損害保険金が支払われました。
ケース4:ドアを壊されて腕時計などを盗難された
Dさんが仕事から帰宅すると、部屋の中が荒らされていました。誰かがドアを壊して家の中に侵入したようです。その後、貴重品などを確認すると、現金、貴金属、腕時計、ブランド品などがなくなっていました。Dさん宅は空き巣に遭ってしまったのです。Dさんは、警察に被害届を出すとともに火災保険に保険金を請求しました。
被害額は、建物20万円(壊されたドアの交換工事費)、家財30万円、合計50万円です。火災保険から50万円の盗難保険金が支払われています。
火災保険がおりないケース
火災保険はすべての損害を補償してくれるわけではありません。発生した損害が補償の範囲外であれば、当然ながら保険金は支払われません。補償の範囲は契約により異なりますが、契約内容にかかわらず気を付けたいポイントもあります。
火災保険がおりないケースについては以下の記事で詳しく解説しています。気になる方は、こちらの記事も参考にしてください。
火災保険の適用条件はケースで異なる
火災保険の「保険の対象」は「建物」と「家財」です。別々に加入するので組み合わせは「建物のみ」、「家財のみ」、「建物+家財」となります。補償の範囲は、住宅火災保険と住宅総合保険で異なります。住宅火災保険は火災や落雷など、住宅総合保険は住宅火災保険の補償の範囲に加え水漏れや盗難などを補償の範囲としています。さまざまな組み合わせが考えられるため、火災保険の適用条件はケースで異なるといえます。
損害が火災保険の支払い対象になるか確認したい方は、申請代行業者などで相談するとよいでしょう。専門的な知識をもとに、個別の適用条件などを教えてくれます。